【AI短編怪談】廃校の落とし穴
ある学校で不可解な失踪事件が相次いで発生した。その学校は今や廃校となり、心霊スポット愛好者の間では有名な噂の対象となっている。学校の床下にある古い落とし穴からは、何やら不気味な声が...
不気味な廃校
数年前、ある学校で不可解な失踪事件が相次いで発生した。その学校は今や廃校となり、心霊スポット愛好者の間では有名な噂の対象となっている。学校の床下にある古い落とし穴からは、子供たちの笑い声や泣き声が響いてくるという。そして、その穴に落ちた子供たちは二度と帰ってこないとも囁かれている……
侵入者
この噂に興味を持った我々は、ついにその廃校を訪れることに決めた。メンバーは私と、オカルト愛好者なら誰もが知る有名YouTuber・K、Kの助手の計3人での潜入となった。
廃校に辿り着くなり、我々はその異様な外観に圧倒された。窓という窓に張り巡らされた無数の板切れからは、昼間だというのに不気味な光が差し込んでいる。壁沿いに並べられた大量の椅子は埃に覆われており、まるで学校の怪談に聞く、夜になると動きだすような代物に見える。しかし、我々を怖がらせたのは校舎そのものでは無く、この空間に漂っている雰囲気だった──何か、人ならざる存在がいるような感覚、それは我々にとって初めてのもので、思わずゾッとさせられたのだった……
恐る恐る校内に侵入し、Kの提案で各階の部屋を一つずつ見て行く事にした。まずは最上階、5階を重点的に捜索し、その後他の階を順番に回っていくことにしたのだが……。
大穴と置物
3人はその部屋で見つけたものに絶句する。そこには大きな穴──それも、大人が楽に落ちてしまう程の穴がぽっかりと開いていた。
中は真っ暗で何も見えないが、その穴からは子供たちの笑い声が聞こえてきた。
そして、穴の前には古い木箱と、それに寄り添う様に置いてある古い木彫りの人形。木彫りの人形は、子供の頭ほどの大きなサイズで、不気味な笑みを浮かべている。また、穴の中から聞こえる声はこの人形の笑う声にそっくりだった──いや、むしろ、その声は箱から漏れ聞こえてくるのだ。その穴から子供たちの笑い声が聞こえているかのように……。
3人の沈黙を破るかのように、Kが動く。それは本当に一瞬の出来事だった。Kが穴に向かって手を伸ばした瞬間、彼は何かに取り憑かれたかのように動き出し、そのまま穴に飛び降りたのだ。
すぐに我々は駆け寄り彼の安否を確認したが、幸いにもKに大きな怪我は無かったらしい。しかし──彼の様子がおかしいのである。彼はうわ言のように「あの箱の中に何が──」と呟き続けている……
異変
その後、我々はKを病院に運び、その日はそこで解散することとなった……
それから一週間後、彼は無事に退院したが、彼はすっかり変わってしまったようで、常に何かに怯えたような態度をしている。病院で何があったのかと尋ねても全く何も答えようとしないのだ。
退院後の彼は今回の出来事がなかったかのように振る舞っていた。しかし、彼のYouTubeチャンネルは以前とは全く違う、異様な雰囲気に変貌していた。それはまるで暗闇の中から助けを求めるかのような、不気味で奇妙な内容となっていた。そして、そのチャンネルから流れ出る声は、あの木箱から漏れていた声と酷似しており、それを聞く者に深い不安と恐怖を感じさせた。